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<産婦人科の基礎知識/不妊症や妊娠のお勉強

生殖器のしくみ

女性の生殖器は子宮などの内性器と陰唇などの外性器に分けられます。
ここでは、おもに「内性器」について解説します。

ホルモンによるコントロール

生殖器系がうまく働いて、排卵や月経などをコントロールする部分として、脳の中心のあたりにある視床下部(ししょうかぶ)、視床下部の直ぐ下にある下垂体(かすいたい)、腎臓の上にある副腎などがあります。 視床下部や下垂体からの命令で生殖器(卵巣や子宮)は機能しています。
体内のいろいろな活動を調節する化学伝達物質を「ホルモン」と呼んでいますが、 視床下部や下垂体から「ホルモン」が放出されて生殖器がコントロールされているということはとても大切な知識です。

視床下部が総司令部となります。
視床下部は「ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン」GnRHを分泌します。
GnRHは下垂体を刺激して「ゴナドトロピン」と呼ばれる2種類のホルモン、すなわち

「黄体形成ホルモン」LH
「卵胞刺激ホルモン」FSH

を下垂体から分泌させます。
これらのホルモンは卵巣を刺激して、

「エストロゲン(卵胞ホルモン)」E
「プロゲステロン(黄体ホルモン)」P

を卵巣から分泌させます。

これらのホルモンが子宮内膜に作用して月経や妊娠の維持を行います。

「視床下部」GnRH→→→ 「下垂体」LHやFSH →→→ 「卵巣」EやP →→→ 「子宮内膜」

というホルモンの連鎖で排卵や月経という現象がコントロールされています。

内性器に含まれる臓器

前述したホルモンのコントロール下にあるのが子宮や卵巣の内性器です。
内性器には以下のような部分が含まれます。

・腟(産道の一部)―放出された精子を受け入れるところ。出産時にはここから胎児が出ていく。
・子宮―受精卵はここで胚から胎児へと成長していく。胎児成長の場。
・卵管―精子と受精卵の通り道。精子はここで卵子と出合い、受精が起こる。
・卵巣―卵子を形成し、放出する器官。

外陰部〜処女膜について

外性器の話を少し。
女性の外陰部は3つの孔(あな)があります。 前から尿道、膣入口部、肛門です。 大陰唇というふっくらとした皮膚の盛り上がりの内側に、小陰唇というひらひらした部分があります。 両側の小陰唇の中央に膣入口部があります。

膣入口部から内側に少し入ったところに処女膜があります。 処女膜はいわゆる「膜」として膣にふたをしているのではありません。 (私が若い頃は、膜なんだからてっきり膣にふたがあるものだと思ってました(^^;)) 実際には膣入口部をぐるっととりまく輪っか状の部分のことです。 コーヒー豆の入った缶のアルミ製のふたを開けると、缶の入り口の周囲にふたの一部が輪っか状に残りますよね、あんな感じです。 処女膜は最初の性交で破れることがありますが(”切れる”と表現した方がより正確です)、十分に柔らかいと破れないこともあるようです。 また逆に、運動やタンポンの挿入で簡単に破れてしまうこともあります。 破れると通常、少量の出血があります。

膣について

膣は筋肉質の狭い筒状の部分ですが、とても伸展性があります。 イメージでは外陰部という扉と子宮というお部屋をつなぐ、廊下のような感じです。 長さは10〜13センチほどで内診の時に膣内に指を入れると通常は子宮の頸部を触れることができます。 膣は性交の場であり、精子が放出され卵子へ向かい、生理の血や胎児の通り道(産道)になります。

膣の表面は粘膜(口の中も粘膜で覆われています)で覆われていて、その表面から分泌される液体と子宮頸部から分泌される液体で膣内は湿った環境になっています。 これらの液体が”おりもの”として外へ出てくることがありますが、おりものは全て異常、というわけではありません。

性交の際に膣の周りにでてくる潤滑液としての粘液は、膣入口部にある腺から分泌されます。 この粘液は子宮から出てくるとものだと思われている方も多いです。

子宮について

受精卵が着床して赤ちゃんが育つ場所が子宮です。
子宮は主に筋肉でできていて、洋なしを上下ひっくり返したような形で膣の奥に接続しています。 大きさはにわとりの卵くらいの大きさが普通で、子宮筋腫があったり妊娠したりすると大きくなります。

子宮のすぐ前には尿のたまる膀胱、後ろには便が通過する直腸があり、靱帯という堅い組織で骨盤のなかに固定されています。 子宮は子宮頸部(洋なしでいうと細い部分にあたる)と子宮体部(洋なしの太い部分)でできています。 子宮頸部と子宮体部はくっついていますが、構造や機能は全く違います。 妊娠中、子宮頸部はしっかりと閉じていなければならないのに対し、子宮体部は胎児の発育とともにどんどん大きくなっていきます。 また、分娩の時は子宮頸部はどんどん開いて、体部はどんどん収縮してと全く逆の動きをします。 子宮頸部と子宮体部は構造や機能が全く違うので、出てくる病気も違ってきます。

膣の一番奥に子宮が子宮頸部で接続して、子宮頚部の真ん中には直径数ミリの小さな孔があいています。 もちろん小指も入らないくらいの小さな孔です。 この孔は子宮頸部の中を子宮の体部まで続いています。 直径数ミリ、長さ約4センチのトンネルで子宮頚管と呼んでいます。 子宮頚管の膣側の孔を外子宮口、子宮側の孔を内子宮口といいます。 内子宮口の奥に子宮の内腔(胎児を育てる空間)が拡がっています。

子宮頚部について

子宮頸部は膣内から精子が子宮内に入っていく通り道であり、月経血の排出口であり、産道としての赤ちゃんの通り道でもあります。 妊娠初期には小指も入らない小さい子宮口が分娩の時は最大10センチまで開き、赤ちゃんが出てくるわけです。 この変化は実にダイナミックです!

子宮頚管には粘液を作りだす細胞があります。 通常はこの粘液(頚管粘液)が濃く、ペトっとしていて細菌などが子宮内に侵入しにくくなっています。 子宮の入口に粘液のふたがついている感じです。 排卵が近くなるとこの粘液がホルモンの影響で「サラサラ」と薄くなり、精子が泳ぎやすくなります。 この時期にナプキンなどにサラサラとした無色透明の粘液が付着することがあります。 触ると10センチくらい糸を引きます。 この時期まさに排卵の時期で性交渉のタイミングとしては良い時期ですね。 排卵の時期の推測はいろいろな方法を駆使して総合的に判断しますが、子宮頚管からでてくるこのサラサラとした粘液もその判断材料の一つになっています。
クロミッドという排卵誘発剤がこの頚管粘液を減少させ、精子の侵入に影響を与える場合があります。

子宮体部について

子宮体部は厚い筋肉で袋状の器官で、赤ちゃんが育つ場所です。
時期が来ると陣痛という自律的な子宮の収縮(子宮の筋肉は力を入れても収縮しません)がおきて赤ちゃんが娩出(うまれる)されます。 最初は鶏の卵くらいの大きさの子宮が最終的には3キロくらいの赤ちゃんが収まるくらいの大きさまで引き延ばされるんですね。 出産後は風船が縮むように急速に収縮してしまいます。このあたりも驚愕ですね!
子宮体部の内側の空間を「子宮内腔」とよび、「子宮内膜」という薄い膜がその表面を覆っています。 子宮の内側の膜(子宮内膜)は妊娠が成立しなかったら、排卵から約2週間で生理の時にはがれて月経血とともに排泄されます。

子宮内膜症とは

「子宮内膜症」という病気がありますが、これは「子宮内膜」が子宮の中だけではなく、卵巣表面、子宮の後ろ側、おなかの中などにも存在します。月経時に子宮の中だけでなく、卵巣表面などの子宮以外の部分でも同時多発的に出血が起こるために生理痛がひどくなります。腹腔内にひどい癒着を起こしてしまうという病気です。ひどくなると不妊症の原因の一つになります。

卵管について

左右の卵管はそれぞれ5〜7cmほどの長さで、子宮から卵巣へのびてます。 卵管は細いところでは内径が1mm以下です。 卵管と卵巣は少し離れています。 卵管の先端はラッパのように開いていて卵管采と呼ばれています。卵管采は排卵した卵子をキャッチして卵管内に導きます。 癒着などで卵管采の可動性が悪かったり、卵管が完全に閉塞していると精子と卵子が出会えないので、不妊の原因となります。

卵巣について

卵巣は親指の先端くらいの大きさで左右にあります。 卵巣から排卵という現象で卵子が放出されます。 また、卵巣からはエストロゲンやプロゲステロンなどの重要なホルモンが分泌されています。

卵巣には数百万の卵子が準備されていますが、女性が一生のうちで排卵する数は約400個くらいです。 卵子は活動が停止した状態で排卵されるのをじっと待っています。 排卵の時に放出される卵子は、排卵している女性がおかあさんのおなかの中にいるときに作られた卵子を排卵していっているわけです。 例えば40才のときに排卵している卵子は約40年前に作られた卵子なんですね。 妊娠する年齢が高くなるほど卵子の質が低下し、異常が生じている可能性が高くなります。 高齢出産では染色体や遺伝子の異常が生じやすくなるのはこのためです。




 

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