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妊娠とリンゴ病(パルボ)
リンゴ病とは
リンゴ病はパルボウイルスB19というウイルスの感染症で、正式名称を伝染性紅斑といいます。
ほっぺたがリンゴのように真っ赤になるためにリンゴ病という名前が付きました。
4歳〜10歳児に感染することが多く一度感染すると終生免疫を獲得するのでその後は感染しません。
小児期に感染すると発熱や全身倦怠感の後に関節痛や特徴的なほっぺたの紅斑(赤い斑点)が出現します。発疹は10日ほどで消失して治癒します。潜伏期間は発熱するまで平均一週間、ほっぺたの発疹が出現するまで2〜3週間くらいで発疹が出現する前がもっとも感染力が高いといわれています。
発疹がでて周りがリンゴ病と気づいたときには感染していない周囲の人はすでに感染している可能性が高いということですね。
成人がかかると典型的な紅斑が出現しないことも多く、風邪のような症状だけで診断が難しくなります。成人の感染の半分は不顕性感染ともいわれています。
関節痛は70%位に出現し、大人の場合は風邪かなと思っていたら感染していたなんてこともあるんですね。
感染力は強く家族内では免疫を持っていなければ、非常に高率に感染してしまいます。
感染経路は飛沫感染(咳などでうつる)と接触感染なので感染者が近くにいるときは、まずは近寄らないことと手洗いをしっかりやることが大切です。感染は5年毎に流行性がみられ、春から夏にかけて多いようです。
ワクチンはまだ完成していないので予防接種はありません。
妊娠とリンゴ病
リンゴ病が原因で感染者が死亡することはほとんどないのですが、妊娠期間中に感染すると、胎児死亡などを発症します。産科医をしていると数年に1人くらいは妊娠中の感染者を診て、注意深く管理していくといった経験をしているかと思います。
このウイルスが感染するのは赤血球の元の細胞である赤芽球という細胞です。この細胞をウイルスが破壊するので、その後の赤血球産成が停止してしまいます。母体が感染すると胎盤を通して胎児に感染し胎児の赤血球がどんどん減少し、重傷の胎児貧血となってしまいます。貧血が進むと胎児はむくみがひどくなり(胎児水腫)最終的には死亡することも多いです。
妊娠20週未満の母体感染の30%くらいに胎児も感染しその3分の1が胎児水腫や子宮内胎児死亡となります。(母体感染の10%くらいが死亡する可能性があるということです。)
原因不明の胎児水腫や子宮内胎児死亡の20%にパルボウイルス感染があるともいわれています。
胎児の胸部や腹部の水分含有量が多くなってくるのを早期発見できれば、出生させて新生児輸血を行ったりすることも可能ですが、胎児水腫が急激に悪化して死亡に至る例も多いようです。
一方、妊娠20週以降の感染では胎児水腫はほとんど発生しないようです。
母体感染から2週間〜17週間(平均10週間)後に胎児に影響がでてくるので長期にわたる管理が必要となってきます。
妊婦さんの抗体保有率は40%未満といわれているので、決して他人事ではないんですね。
以前感染したのか、最近感染したのかは血液検査でわかります。
感染して3ヶ月はIg-M抗体が陽性となるので妊娠初期にIg-M抗体陽性であれば、妊娠期間中は毎週チェックを行い胎児異常の早期発見に努めることになります。Ig-G抗体が陽性であれば、免疫を持っているということになります。
一般的にルーチンで行われる検査ではありませんので、心配であれば血液検査を希望してみてください。
抗体があれば安心ですが、抗体を持っていないことがわかっても、ワクチン接種があるわけではないので、どうしようもないといわれればそれまでですが、このような病気が存在し高率に胎児感染を起こしうるということや風邪のような症状で感染していることもあるという知識は持っていると、疑わしい症状があったときに担当医に相談することができて、対応が早くなる可能性はありますね。


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