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<産婦人科の基礎知識/不妊症や妊娠のお勉強

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妊娠と水ぼうそう(水痘)

みずぼうそうとは?

みずぼうそう(水痘)は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus;VSV)による感染症で、発熱と全身の水疱(水を含んだ発疹)を発症します。このウイルスは初感染後、神経節に長期間潜伏し宿主(感染者)とともに過ごし免疫力の低下などで再度元気になり、皮膚症状を起こす特徴があり、初感染で水痘を発症させ、再活性化で帯状疱疹となります。ウイルスは水痘患者の上気道粘膜や皮膚の水疱内や帯状疱疹患者の皮膚の水疱内に多数存在し、飛沫や接触で感染します。

非常に感染力が強く、不顕性感染は少ないです。
日本では小児期にほとんどが感染し、成人の抗体保有率は95%を越えています。
基本的には一度感染すると二度とかかることはありません。

潜伏期間は約2週間で、発熱や倦怠感などを伴って顔に赤い水疱が出現して、全身に広がってゆきます。
通常は1週間くらいで水疱はかさぶたになり治癒します。
感染力は発疹が出現する2日前から水疱が完全にかさぶたになるまで続きます。

帯状疱疹とは?

小児期にほとんどの方が感染していると考えられるので、ほとんどの人は神経節にVZVを宿していることになります。ウイルスが神経節といって背骨のそばの神経が集まるところに潜んでいるわけですね。この潜んでいたウイルスが免疫力が低下した状態(高齢者、癌患者、高度のストレスなど)で神経を伝って皮膚までやってきて皮膚で水疱を形成します。

神経節が担当する皮膚の領域が頭の先から足の先まで帯のように決まっているので、帯状に水疱を作ることになります。全身ではなくおなかや背中の一部分に水疱が出現します。神経を伝ってウイルスが現れるのでかなりの痛みを伴った水疱です。痛みが始まってから水疱がなくなるまで一ヶ月くらいかかるようです。

水疱ができる場所は様々で体幹(胴体)が多いですが、顔や頭にも出現することもあります。
症状がでたらできるだけ早く抗ウイルス薬を投与します。痛みも伴うので痛み止めも使用します。後遺症として水疱が出現した部位の神経痛があります。治療が遅れたり、高齢の場合は痛みが数年も続くこともあります。
この痛みは相当つらい症状です。

帯状疱疹が人にうつり帯状疱疹を直接発症することはありませんが、このウイルスに未感染の人は水痘になります。 まずほとんどの妊婦さんが抗体を保有しているので妊婦さんの水痘発症は非常に少ないです。
ただ、妊娠中に感染すると肺炎や肝炎を合併し重症化する傾向があり注意が必要です。
さらに重要なことは胎盤を通じて胎児に感染し、時期によって先天性水痘症候群(congenital varicella syndrome;CVS)、乳児帯状疱疹、周産期水痘などをおこします。

先天性水痘症候群

妊娠20週未満に妊婦が水痘に罹患すると1〜2%の児に低出生体重、皮膚の瘢痕(ひきつれ)、四肢低形成、小頭、脳萎縮、白内障、自律神経症状など特徴的な異常が出現するようですが、日本での報告例はないようです。

乳児期帯状疱疹

妊娠20週〜分娩の21日前までに罹患すると出生した児の9%は乳幼児期に、水痘にかかったことがないのに帯状疱疹発症します(zoster in early childhood)。胎盤を介して感染して胎児の神経節に潜んでいたウイルスが再活性化したものと考えられますね。

周産期水痘

分娩前後に妊婦が水痘に罹患すると胎盤を介して胎児に感染し、30〜50%くらいの新生児に水痘が発症します。新生児水痘がどの程度で終わるかは、感染した母体の抗体がどれだけ胎児に移行したかどうかで決まるといわれます。

分娩の6日以上前に母体が水痘を発症した場合

新生児は0〜4日に水痘を発症しますが、母体の抗体が胎児に移行しているので重症化せずにすみます。

分娩の5日前から分娩後2日までに母体が水痘を発症した場合

児は生後5〜10日に水痘を発症し、母体から抗体が移行していないので重症化します。
水痘に肺炎や脳炎などを合併し、死亡率も30%と高率です。

分娩後3日以後に母体が水痘を発症した場合

母体のウイルス量が少ないうちに児が生まれているので、胎盤を介しての感染はないと考えられています。
しかし、母体から抗体ももらっていないので、生まれてからの直接感染は十分に可能性があります。

分娩直前の発症が非常に問題となるため、分娩ぎりぎりで水痘に発症した場合は分娩にならないように子宮収縮抑制剤などで妊娠期間を1週間ほどのばすことも行われます。
母体から胎児に抗体が移行するのを待つわけですね。

いくら頻度が低いとはいえ、妊娠の感染は避けたいものです。
未感染の場合は妊娠前にあらかじめワクチン接種をすることをおすすめいたします。
生ワクチンなので妊婦さんは禁忌で、水痘ワクチン接種後は1ヶ月間の避妊が必要になります。





 

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