トップページ > 妊娠と感染症 > 妊娠と三日はしか(風疹)
妊娠と三日はしか(風疹)
風疹について
風疹は風疹ウイルスによる感染症で三日はしかともいわれます。
感染経路は飛沫感染(咳などで感染)です。
感染した人の鼻水や唾液にウイルスが含まれています。
感染して症状が出現するまで(潜伏期間)はだいたい平均2週間くらいです。
症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れなどです。
赤い発疹が顔にできて、それが手や足に広がってゆきます。
この発疹は1日で出尽くして3日くらいで消えてゆくので三日はしかともいわれているんですね。
終生免疫を獲得するので一般的には一度感染すると一生感染することはありません。
ただ、再感染が全くないわけではありません。
10歳くらいまでに感染することが多く、これらの感染症一般にいえることですが、小児期に感染すると症状も軽くすむことが多いですね。大人の場合は関節痛がひどく、発疹も出現しなくて風邪を引いたような症状のことも多いようです(非特異的症状)。
感染力ははしか(麻疹)やみずぼうそう(水痘)ほど強くないので、感染した集団の中にいても感染しない場合もあります。発疹のでる3日前くらいから発疹がでて5日くらいが感染力が強いようです。
「わたしはかかったのかしら?」「自分の親は良く覚えていないと言う。」など風疹に感染したことがあるかどうかはっきりしない場合は(抗体をもっているかどうか)は血液検査をすればすぐにわかります。
妊娠すると初期の検査で風疹抗体の検査がありますが、抗体がないとわかっても妊娠しているのでワクチン接種ができませんので、妊娠前に病院で抗体を保有しているかどうかをきちんとチェックして、抗体を持っていなければ、ワクチン接種をして免疫をつけておくことが大切です。
とくに子供さんと接する職業の方(幼稚園や保育園の職員の方や小児科スタッフの方)は予防接種を強くおすすめいたします。
ワクチンを接種して2〜3ヶ月は避妊をするように指導されます。
これは念のためです。しかし、もし風疹ワクチンを接種して妊娠していたことが後でわかっても中絶を考慮する必要はないといわれています。
ワクチンによる胎児異常はこれまでに報告されていませんので。
※ワクチンは弱毒株の生ワクチンです。
弱毒株のワクチンを接種することで症状はほとんど出現せずに抗体を獲得することができます。
先天性風疹症候群
妊娠中に風疹に感染すると先天性風疹症候群(CRS)といって、胎児に何らかの障害が発生する可能性があります。
妊娠初期に妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると母体に進入したウイルスが胎盤の中で増殖し胎児に感染してゆきます。胎児に感染すると先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)といって難聴、白内障、心臓の病気(動脈管開存症、心室中隔欠損症、肺動脈狭窄症など)、精神発達の遅れ、低出生体重などの症状が出現することがあります。もちろんこれらの症状がすべてそろって出現するわけではありません。症状の程度はウイルス感染と妊娠の時期に関係してきます。軽度のCRSから重度のCRSまでいろいろ起こりうるということです。
排卵前と妊娠6〜7ヶ月以降の感染ではCRSの発生はないといわれています。
理論的に器官形成期に感染すると症状が重症となります。つまり妊娠2ヶ月までの心臓をはじめ体の重要な臓器が分化している時期に感染すると重複した異常が発生する確率が高くなります。妊娠3〜4ヶ月になるに従って合併異常の頻度は減少して先天異常としては難聴だけが発生する傾向があるようです。軽症であれば、早期リハビリテーションなどで機能回復も期待できるとのことです。
母体に感染すると100%胎児に感染するわけではありません。
妊娠2ヶ月で75%、妊娠4ヶ月で30%ほどといわれています。
非常にまれですが、妊娠中の初感染だけではなく、再感染でもCRSが生じる可能性はあります。
CRSは診断した医師は届け出る義務があり、統計が存在します。
数年前までは年間1例程度(全国で)でしたが2004年には10例と急に増加がみられ、厚生労働省からCRS予防に対する緊急提言もだされたほどです。
抗体保有率の低下から今後CRSも増加する可能性があります。
風疹の予防接種
風疹の予防接種が重要なのは大人になってから感染すると髄膜炎などの重症化することを防ぐ目的もありますが、最大の理由はCRSを発生させないようにするためです。
予防接種以前は感染した近所のお友達からもらい免疫を獲得したものでした。
1977年から将来妊娠する女性を対象にということで中学女子に集団予防接種が開始されました。
1995年に予防接種法の改正で最終的には風疹の根絶目的で中学生の時期から乳幼児期の男女に接種することになり、また集団接種ではなく希望者に接種する個別接種に変更されました。
現在は1歳から7歳半までに2回のMRワクチン(風疹と麻疹の混合ワクチン)を接種するようになっています。
1995年に法改正があり予防接種の時期が変わりましたのでこのときに中学生になっていないお子さん方は予防接種が行われなくなってしまいます。そのため、移行経過措置として1979年(昭和54年)4月2日生まれ〜1987年(昭和62年)10月1日生まれの未接種者の男女に対しては公費で予防接種が受けられるようにキャンペーンが展開されました。しかし、キャンペーンの効果が乏しく移行期間の年代の抗体保有率が非常に低い結果となってしまいました。
私も日頃、妊婦検診をしていて20歳代は抗体保有率が低い印象があります。
また、以前の予防接種は女子しか行われておらず20代〜30代の男性の抗体保有率が非常に低く、夫が外部からもちこみ妊婦が家族内感染でCRSを発症した例もあるようです。男性の検査、ワクチン接種も大切なんですね。
アメリカなどの欧米では風疹ワクチン接種が厳密に行われておりほぼ風疹自体が根絶状態といいます。アメリカでの重要な感染源として日本人があげられているといいます。それだけ日本は抗体保有率が低いことが有名なようですね。またあちらでは抗体陰性の場合は出産後病院に入院中に(産褥期)に風疹ワクチンを接種して退院しているとのことです。


トップページ
おたふくかぜ