妊娠と肥満
肥満は妊娠にとってハイリスクとなります。
肥満妊婦に起こりやすい合併症を列挙してみます。
・妊娠高血圧症候群(PIH)
・糖代謝異常
・巨大児や肩甲難産の合併
・弛緩出血
・微弱陣痛や分娩時間の遷延
・帝王切開率の上昇
・創部離開
・血栓症
・脂肪塞栓症
特に重要な項目について以下に解説します。
・妊娠高血圧症候群(PIH)
PIHは以前妊娠中毒症と呼ばれていたものです。
母児ともに悪影響を及ぼす病態です。
PIHのリスク因子はたくさんありましたが、肥満は重要な因子になります。
次に多いのが意外にも「やせ妊婦」になります。
太りすぎ、やせすぎはリスクが高くなると言うことですね。
妊娠中に急激に体重が増加して肥満の基準を満たした場合もリスクは高くなりますが、非妊時から肥満があるとよりリスクが高くなると言われています。
・糖代謝異常
糖代謝異常の代表は糖尿病です。
妊娠期間中に発生する妊娠糖尿病というのもあります。
肥満妊婦はもともと血糖値が高い傾向があります。
妊娠初期に高血糖が持続していると奇形の率が上昇すると言われています。
一般的には妊娠して血糖値などを初めてはかることが多いので、妊娠初期の測定では遅いこともあります。
検査で高血糖があることがわかったときにはすでに奇形が発生している可能性もあります。
糖尿病の素因(肥満、家族歴など)がある場合は、妊娠前に血糖値を測定することをおすすめいたします。
血糖値のコントロールをつけてから妊娠する方が胎児とっても母体にとってもよいのです。
肥満妊婦は糖代謝異常の頻度が高いこと、カロリーオーバーとなっていることが多いことより胎児も巨大となる可能性が高くなります。
赤ちゃんは大きければ大きいほどよいというわけではありません。
また肥満が高度になると膣の中も脂肪により狭く(産道が狭く)なります。
・巨大児や肩甲難産の合併
分娩時に頭は出たけど肩が引っかかり、腕の麻痺が生じたり、分娩が長引いて胎児や母体にへストレスがかかったり、子宮も疲れて、微弱陣痛や子宮弛緩出血となったりします。
・帝王切開率の上昇
全体で見ると肥満があることで帝王切開率も上昇します。 帝王切開のときに出来る傷も治りにくかったりします。
・血栓症
妊娠すると非妊時と比較して、血液が固まりやすくなっています。
これはお産の時の出血に耐えるための合目的な仕組みです。
しかし、血管内でも血液が固まりやすくなっています。
血管の中で血液が固まることで、末梢の循環障害を起こす病態を血栓症といいます。
肥満があるとこの血栓症の率が非常に増加します。
血液がさらさらしていないので詰まりやすくなるのは想像しやすいと思います。
重要臓器である脳や肺などで血栓症が発生すると麻痺が残ったり、死亡したりします。
血栓症は発生するとあっという間に死亡することがあり、とても怖い状態です・・・。
肥満妊婦の妊娠中の具体的な対応は?
・体重増加に対する指導として食事指導と適切な運動。
・肥満妊婦の指摘体重増加は「5キロ以内もしくは個別対応」
・単にカロリー制限をするのではなく、必要な栄養分も考えた指導
・合併症の早期発見(血圧や血糖の注意深いチェック)
・胎児の発育の評価(大きすぎないか)
・微弱陣痛管理、子宮収縮促進剤の使用など
・巨大児に対する帝王切開術への切り替えの段取り
・分娩後や手術後の血栓症予防のための抗凝固剤投与やフットマッサージ器具の設置
専門栄養士さんの食事指導などは個人開業のクリニックなどでは対応ができないこともあり、トータルな管理目的で総合病院などへ紹介される例もでてきます。


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