児頭骨盤不均衡(CPD)
児頭骨盤不均衡とは?
胎児の体重が4000グラムでも、母体の骨盤の大きさが十分にあれば経膣分娩は可能です。
逆に3000グラムくらいでも母体の骨盤が小さければ難産となることもあります。
単純に母体の体格や骨盤の大きさだけで決められるものではなく、胎児(胎児の頭=児頭)と骨盤の相対的な大きさを評価する必要があります。
物理的に母体の骨盤を児頭が通過することが不可能と判断されたとき、「児頭骨盤不均衡」Cephalopelvic disproportion(CPD)と判断されます。
日本産婦人科学会の厳密な定義では、「このようなときは狭い意味ではCPDとはいいませんよ」という注意点も含まれています。
以下のような場合などです。
・骨盤骨の変形や硬度の低身長により絶対的に通過が不可能なときは「狭骨盤」と診断する。
・明らかな巨大児や巨大な水頭症などはそれらの診断名を優先すべきである。
・胎児の回旋異常や微弱陣痛は除外すべきである。
・扁平仙骨(本来は丸くカーブしているべき仙骨が生まれつきまっすぐな状態)なども含めない。
このようなときはCPDを疑うべき
以下のような場合はCPDの可能性が高くなります。
・母体身長が150センチ以下、とくに145センチ以下。
・子宮底長が36センチ以上、とくに38センチ以上で巨大児が疑われる。
・超音波検査で児頭の横幅(BPD)が10センチ以上。
・尖腹といって、子宮が著名に腹壁から突出している場合。
・以前の分娩が吸引分娩や鉗子分娩などの難産だった。
・初産婦で37週以降、児頭の下降が見られない。Seitz法(+)もしくは(+・-)。
・十分な陣痛があっても(有効陣痛)分娩の進行が1〜2時間、全く進行していない。
・全開大となっても内診をすると児頭が容易に押し戻される(floating)。
CPDのある程度の目測
骨盤外計測といって母体のお尻まわりの大きさをメジャーや定規で測定する方法がありますが、正確ではないため現在ではあまり使用されません。
前回のCPDの疑う所見の一つにSeitz法(プラス)もしくは(プラス・マイナス)という項目があります。
「ザイツ法」といい、妊娠37週以降に母体に上向きに寝てもらい、腹壁から恥骨結合と児頭の位置関係を触診で観察します。
この位の週数になると、普通は腹壁を介して児頭を軽く圧迫することで児頭を母体の恥骨結合面よりも下に触れることができます。
この検査で、恥骨結合面と同じかそれ以上で児頭が骨盤の中へ入り込んでゆかない場合を「Seitz法(プラス)もしくは(プラス・マイナス)」と表現しています。
これはCPDの絶対的な診断ではありませんが、参考になる所見として重要です。
CPDの診断
CPDと診断するには児頭と骨盤の大きさに不均衡が存在することを証明する必要があります。
正確な診断のためには、エックス線骨盤測定が行われます。
グスマン法(側面撮影法)とマルチウス法(入口面撮影法)の2種類と超音波検査を組み合わせて評価します。
骨盤骨は立体的な構造をしてますので、2方向からエックス線を撮影し評価するわけですね。
これらの方法で骨盤の撮影を行うと、骨盤骨と児の頭蓋骨の大きさと位置関係を知ることができます。
まず、骨盤骨の決められた部位をメジャーなどで測定し、その大きさから骨盤の大きさを以下の3つに分類します。
1.狭骨盤
2.比較的狭骨盤
3.正常骨盤
CPDの分娩管理
児頭の大きさと骨盤骨の大きさを比較して、分娩方針を決定します。
正常骨盤の場合は児頭がよほど大きくなければ、CPDの可能性は低く通常の経膣分娩が可能となります。
一方、狭骨盤があり、児頭もそこそこの大きさがあり、物理的に絶対経膣分娩が不可能と判断された場合はCPDの診断のもと帝王切開術が選択されます。
問題となるのが比較的狭骨盤で児頭の大きさと比較して「ぎりぎり通過できるか、どうか」と判断された場合です。
試験分娩といって実際に分娩をチャレンジしてみます。
実際の分娩進行を注意深く観察しながら状況に応じてCPDであれば、帝王切開術に切り替えます。
帝王切開術へ切り替えるタイミングや判断は一定した基準はありません。
それぞれの状況に応じて判断されることになります。
子宮口が全開大、破水後、有効陣痛があるにもかかわらず2時間ほど完全に分娩が停止しているとき
などはCPDとして帝王切開術を選択する可能性が高くなります。
真の意味のCPDは滅多に遭遇しません。
比較的狭骨盤でCPDを疑ってはいても実際は「案ずるより産むが易し」で経膣分娩となる場合が圧倒的に多いです。


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