分娩の進行を評価するのに不可欠な行為が内診です。
内診した結果を「いい感じで進んでいる」と表現しても内診した医者や助産師本人しかわかりませんね。
そこで、内診の所見を点数化して評価しやすくする仕組みがあり、それをBishopスコアといいます。
このスコアリングに必要な情報は以下の5つです。
1.子宮頚管の開大度
2.子宮頚管の展退度
3.児頭の位置(station)
4.子宮頚管の硬度
5.子宮口の位置
それぞれを0点〜2ないし3点で表現し合計点数を計算します。
点数がより高いほど、分娩がより進行していると表現します。
このスコアの点数が1点などでは「まだ熟化していないな」、10点になると「分娩も進んできたな」などを判断できます。
分娩の進行は時間経過が重要なので複数回の内診所見で分娩の進行を評価してゆきます。
前回内診したときの所見と今回の内診所見を比較すること(経時的な変化)が大切なんです。
以下にそれぞれの内容について説明します。
これはもっとも重要な所見の一つです。
子宮頸部には子宮に通じる穴があいていますが、初産婦さんの場合は、マッチ棒がやっと通るくらいの直径しかありません。
それが分娩時には胎児の頭が通過する直径約10センチくらいまで広がります。
短時間で非常にダイナミックな変化が見られます。
子宮頚管は胎児の頭が下がってくることで徐々に開くのであって、自分の力で開いてゆくわけではありません。
内診で子宮頚部を触診し、その広がりを二本(人差し指と中指)の指の感覚で評価します。
2センチや4センチなどセンチメートルで表現します。
完全に広がって、内診で子宮頚部がふれなくなると全開大と表現します(この時約10センチ開大)。
全開大まで行くと分娩としては次の段階へ進みます。
内診してみるとすぐにわかるのですが、言葉で表現すると非常に難しいのがこの展退です。
子宮頚部の薄さと表現すると少しわかりやすくなりますか。
子宮頚部は子宮頚管とも表現され、分娩前は中の空洞がほとんどないちくわのような「管」です。
「子宮頚管の開大」がこの「ちくわ」の横の広がりを表現するのに対して、「子宮頚部の展退」は「ちくわ」の長さが短くなって行くことを表現しています。
分娩の進行に伴って、子宮頚管はその長さがどんどん短くなって行きます。
分娩前にはその長さが4センチくらいありますが、全開大直前には1ミリ以下(薄くなって)になってしまいます。
元々の長さからどのくらいの長さになったのかを割合(%)で表現します。
「展退50%」とは子宮頚管が半分くらいの長さになったことを表しています。
展退がまだまだ(30%以下)のときは「ちくわ状態」、展退が非常によくなると(90%くらい)「ぺらぺら」と表現することもあります。
これは一般的な医師が使っているかどうかはわかりませんが、その状態をよく表していると思います(^_^)。