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胚盤胞移植

ここでは、体外受精における胚移植の1つの方法で、IVF-ETにおける技術進歩の中で顕微受精の発見に匹敵ほど重要だと言われている胚盤胞移植について解説します。

胚盤胞とは?

受精後、単一の細胞であったものが細胞分裂を繰り返して2→4→8→ 桑実胚(多数の細胞が一塊に集まり、桑の実の様な形をしたもの)を経て5日目(day5)〜6日目(day6)ころに、 胚盤胞(blastocyst;ブラストシスト)という細胞の集まりになります。
胚盤胞は単なる細胞の集まりではなく、細胞の集まり方に秩序がでてきます。周囲を取り囲む細胞とその内側に集まる細胞とではその後の発生の過程(分化)で違いが出てきます。2〜8細胞の胚に比べると胚盤胞はより発育した胚ということになります。

胚盤胞移植の背景

一般的な胚移植はday2〜day3に2〜8細胞の胚を移植していますが、この場合は高い着床率ではないため、移植する数を増やして妊娠率を上げてきました。しかしそうすると多胎妊娠の頻度も上昇してきます。
双胎ではまだ低いですが、三つ子になる母体、胎児両者にとって、非常にハイリスクの状態になってしまいます。

自然妊娠の時、受精後1週間くらいで着床が起こります。
2〜8細胞胚の時はまだ卵管内にあり、この時期子宮内に胚移植を行うことは、本来であれば生理的なことではありません。もう少し時間をおいて移植する方がより生理的ではないかと考えられていました。
しかし、以前は培養液が良いものがまだ存在していなくて(胚の発育にどのような要素が必要なのかわかっておらず)、胚盤胞まで体外培養ができない状況でした。

その後の研究でday3までの初期胚から8細胞胚までの時期と8細胞胚から桑実胚や胚盤胞の時期とでは胚を育てるための培養液の組成を変える必要があることがわかってきました。早期ではグルコースはあまり必要がありませんが、胚の分割が進むにつれてグルコースが必要となります。(もちろんそのほかにも必要なものはありますが・・・)この進歩で一気に培養の技術がすすみ体外で胚盤胞まで培養することが可能となったわけです。
移植あたりの妊娠率も大幅にupしました。

数日培養期間を延ばすために多数の研究と時間が費やされ、技術的には大きな進歩ですが、移植の方法はこれまでと変わりはありません。
患者さん側は移植される時期が数日ずれるだけです。

胚盤胞移植の適応

形態良好胚を複数回移植しても着床に至らないとき

反復着床不成功のとき何度かIVF-ETを行っても妊娠に至らない場合は原因はいろいろと考えられます。反復して着床がうまくいかない例の中には、培養の条件を整えても胚盤胞まで発育しない例が存在していて、通常の初期胚の移植では発育が停止する運命にあった胚を見抜くことができなかった可能性があります。

長期培養をすることで桑実胚や胚盤胞まで発育した胚を選択することができます。
ここまで発育することが可能となったものはより良好胚ということになり着床率が上昇します。採卵のときからするとその数は減っても妊娠にいる可能性が高くなることになります。

多胎予防を目的とするとき

胚盤胞の着床率は高いため多数の胚を移植する必要がなくなります。
妊娠率を低下させることなく、胚盤胞まできた胚の中で、もっとも良好と思われる胚を一個だけ移植することも可能となります。これで複数個移植を行うことによる多卵性多胎を抑制することができます。

胚盤胞移植メリット

胚盤胞移植を行うメリットは適応とダブりますが、多胎の予防や胚盤胞まで発生できるかどうかを実際に確認することができます。そのほか、着床すべき時期の子宮内膜と周期を同調させることができます。このことは着床環境を改善させることにつながります。黄体期初期は子宮が軽度収縮をしているといわれており、その時期をずらすこともメリットの1つと言われています。

何よりも妊娠率の高さが最大のメリットです。 施設や患者さんの背景による違いがあり一概にはいえませんが、移植あたりの妊娠率は上昇します。

胚盤胞移植のデメリット

いくら胚盤胞移植が成績がよくても、すべての胚が胚盤胞になるわけではありません
沢山の胚が存在していても胚盤胞まで発生せずに移植をキャンセルせざるを得ない場合がでてきます。もともとの採卵数が少ないとさらに厳しくなります。
移植あたりの妊娠率は増加しても、胚盤胞移植まで発育しない場合が含まれるためIVF-ET全体の成績を底上げするものではないと考えられています。

単一の胚を移植しても、そこから二つに分裂し一卵性双胎が発生が増えるとの報告があります。
二卵性双胎に比較すると一卵性双胎は母体、胎児両者にリスクが高くなります。
このあたりは今後の検討課題ですね。

 

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